鎌田正彦対談記事

鎌田正彦対談記事

対談 SBSホールディングス株式会社 鎌田正彦×愛商ホールディングス株式会社 阿部観
鎌田 正彦(かまた・まさひこ)

1959年6月22日、宮崎県延岡市生まれ。小学生の頃、父親の事業失敗を経験し、自身も家庭を支えるべく中 学時代からアルバイトに明け暮れた。

宮崎県立延岡高校卒業後は佐川急便に入社し、8年間ドライバーとして勤務。その後、1987年に1都3県の即日配送に主軸を置いた株式会社関東即配(現・SBS即配サポート株式会社)を設立し、運送業界で独立。

創業以来、持ち前の「機を読む力」で、雪印物流や東急ロジスティック等、数々の合併・買収を重ね、設立15年でジャスダック上場を果たし、設立20年で年収1000億円企業へと成長させる。

創業30周年を迎える今年、当初より目標としている売上高2000億円を実現すべく、日々邁進している。これまで以上に柔軟で、果敢に攻める経営戦略に注目だ。

業界を越えた繋がりが、“これからのビジネス”を創る

鎌田
私は、高校を卒業し、大手の運送会社に 8 年間勤めていました。その後脱サラし、軽貨物運送事業で独立したんです。
阿部
脱サラし、この運送業界で起業、しかも上場まで昇り詰めたのは、この日本で鎌田社長ただ 1 人。当然困難も多かったと思いますが、それを支えたのは、鎌田社長ならではの「人脈作り」にあるのではないでしょうか。
私が思うに、運送業界の人は、身内の交流は盛んですが、他業種・他業界に足を伸ばすことは少ないように感じます。そんな中、鎌田社長は真逆です。自らが副塾長を務 めている「未来塾」然り、かなり幅広い人脈をおもちですよね。私自身、鎌田社長にお声がけいただき、未来塾に加盟しました。
鎌田

仰る通り、「人との繋がり」に支えられてやってきました。世の中は常に変化していて、その変化の波に乗れなければ、企業としても生き残ってはいけません。
それなのに、自分達の領域だけに目を向けていては、凝り固まってしまいますし、置いてきぼりをくらってしまいます。だからこそ私は、領域外のビジネスやビジネスマンとの繋がりを積極的にもちました。それは、世の変化に気づき、新しいアイディアを生むチャンスを作ってきた、ということです。経営者の仕事は、今を読み、未来を読み、人を読み、判断すること。そこには多くの、かつ多様な情報が不可欠です。様々な人との繋がりをもつことは、経営者として基本の仕事と言えるかもしれません。

「絶対に倒産させない」という「当たり前」こそ本質

鎌田
加えて、これまでの私を支えてきたのは「悔しさ」。独立してからは、古巣である大手運送会社との闘いでした。「鎌田のところとは契約を結ばないように」なんて“御触れ”も出ていたようで、業者を利用することも出来なかったんです。そこで、当時主流ではなかった若い会社とも繋がりをもって、何とか会社を存続させようと躍起になっていました。「大手の圧力に負けるものか!」と。私にとって会社とは、その規模に関係なく、「起こした以上絶対に倒産させてはならないもの」です。元をたどれば創業者のものですが、会社には従業員がいて、お客様がいます。当然、彼らの家族や生活だってあるのですから、それはもう創業者だけのものではないのです。この、「当たり前の本質」を胸に抱き続けられたことが、果敢に攻めるビジネス戦略を可能にしたのでしょうね。
阿部
鎌田社長の果敢なビジネス戦略というのは、次々と名だたる企業を買収・合併してきたことにも表れています。メインである運送業に圧力がかかっても、別法人 で利益を出すことも出来ますし、資金援助も出来る。そうやって、「倒産させない」という信念を貫いてきたのではないでしょうか。
鎌田
そうです。そして、その圧力のおかげもあって、我々の結束力は高まりました。企業としての強さが増したんです。この結束力は、今では我々の企業文化になりました。怒号が飛び交うほど活気があって、熱と人情味がある。そんな「昔ながらの日本企業」と言える文化が、今も現場に根付いています。あの Amazon が見学にいらした際、驚いたほどです。こうして独立から 15 年、年商 200 億円のところで、ジャスダック上場という大きな節目を迎えることができました。闘い続けた古巣とも、今は関係も良好です。(笑)

「トラック版 Uber」が、運送業界の常識を変える!?

阿部
上場を遂げた今も、鎌田社長の攻めの姿勢は変わりません。運送業界において、今鎌田社長が見据えているものは何でしょうか。
鎌田
ずばり、キーワードは「スマホ」と「IT」でしょう。これら 2 つが世の中を変えていきます。具体的には、通販・ネット販売の波が、さらに大きくなっていくと予想しています。現に中国の若い女性の多くは、買い物を「スマホの画面上で選び、あとは家で届くのを待つこと」だと思っているとか。ここからもわかるように、小売店という概念自体が、変わりつつあるのです。それほどまでに身近で、簡単なスマホの影響力を利用しない手はありません。これは数年前から感じていて、長らく攻めの一手を考えてきました。それが今年、SBSホールディングスの 1 つの答えとして世に出ます。2017 年7月にリリース予定の「トラック版 Uber」です。Uber と は、タクシーのような配車に加え、一般の人が自身の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶサービスです。これを、トラック版 Uber では運送業に応用しています。
運送会社にアプリとスマホを持ってもらうことで、配送希望とドライバーとを効率的にマッチングする。この広大なネットワークは、配達ニーズが高まりドライバー不 足が深刻化する今後において、大きな力を発揮すると確信しています

仕組みの再構築が示す、「古く、衰退していくビジネス」の可能性

阿部
ドライバー不足は、全国の運送経営者が頭を抱える最重要課題の 1 つです。今後の労働力不足を思うと、例えば外国人ドライバーが当たり前にいる世界も近いのではないでしょうか。
鎌田

同感です。就労ビザ等、現段階では整備を要するものが多く存在しますが、早急に彼らを活用する手立てを考えるべきです。彼らを人材として活用するというこ とは、単にドライバーとして受け入れるだけではなく、例えば日本語学校と連携して「日本で生活する」上で必要なスキルを身につけてもらう等、必要なことは多岐に 渡ります。実際に、日本語学校の需要は非常に高いと聞きますよ。
このように、ヒト・モノ・カネといった資源をどう活用するかを、我々経営者は、柔軟に考え直す必要がありますね。

阿部
仕組みの再構築、ですね。どんなに技術が発達しても、「物」がなくなるわけではありません。我々も、グループというネットワークを利用して、効率的な配送を実現しています。どう仕組みを作るかは、まさにどう会社が成長していけるか、ですね。
鎌田

古く、衰退していくビジネスほど、儲かるものです。儲かるからこそ、「古い」と言われるほど続いてきたのですから。つまり、運送業は、大きな可能性を秘めている、「成長産業」なんです。運送・配送の限界を指摘するような声があがる昨今だからこそ、それを覆すほどの可能性があり、アイディアが生まれるんですよ。阿部社長のグループのネットワークを活かした配送スタイルがそうであるように、私のトラック版 Uber も、運送業界の成長性を証明するでしょう。このように、古くからあるビジネスに、いかに新しいアイディアを織り交ぜ、仕組みを変化させ、「これからのビジネス」に変えていけるか。まさに経営者の醍醐味です。私も 1 人の経営者として、世間をあっと言わせる面白いビジネスを展開していけるよう、今後も攻めていきます。一緒に変化の波を越えていきましょう。