対談記事

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対談 株式会社ネクシィーズグループ 近藤太香巳×愛商物流株式会社 阿部観
近藤 太香巳(こんどう・たかみ)

株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長 兼 グループ代表

1967年11月1日生まれ

19歳の時、50万円を元手に会社を創業。
34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証一部に上場。
プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。

2015年9月、電子雑誌出版の株式会社ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たす。

常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。
JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。※2015年9月現在

無知こそ無敵。考えすぎると決断できなくなる

阿部
私が軽貨物運送の個人事業主になったのは27歳のときです。求人広告を見ても20代でもらえる給料はせいぜい20万円くらい。
当時は借金があったから一般的なサラリーマンよりももっと稼がなくちゃいけなかった。思い切って飛び込むしかなかったわけです。
近藤
僕が最初に会社を作ったのは19歳のとき。その前に半年くらい就職先で営業をやっていたんだけど、これがキツくて。
100人のお客様に会っても契約が取れるのはせいぜい1人。でも僕はその1人に会うために、右のポケットに鏡を入れて笑顔を作って、左のポケットに当時欲しかった車の写真を入れてセールスし続けた。 このときNO.1の営業マンになれたことが、僕のキラーカードになったんだよね。この営業力を活かすしか生きる道はない。チャレンジしようと思った。
阿部
私も起業当時はあとのことをあれこれ考える余裕はなかったですね。考えすぎると身動きが取れなくなってしまう。
うちにも起業を目指す人がたくさん来るけど、中には面接の段階でものすごく質問してくる人がいるんですよ。
本当に聞くべきことは、実際にやっているときに出てくるものなんですけどね。
近藤
僕がよく言うのは「無知こそ無敵」ということ。ぐちゃぐちゃ考えても始まらない。動きながら考えるのは大事だよね。
僕は経営には「知識」と「経験」と「勘」が大事だと思っている。経験は積み重ねていくものだし、勘はその経験から生み出されるもの。 でもこの3つを持っていないからこそ突っ走れることもある。これは起業の時だけじゃなくて今もそう。 新しいことを始めるとき、70%イケると思ったら残りの30%に根源的な問題が含まれていない限り、GOだ。スタートして初めて見えてくる課題もあるんだから。

起業にはやり切る力とチャレンジする勇気が要る

阿部

うちのグループで成功しているのは「やり切る力」を持っている人。
システムはあるので、それを確実にやっていけるかどうかが重要です。そして、いざというときには寝食を忘れて取り組める姿勢があること。 これさえあれば物流の経験がなくても十分にやっていけます。

近藤
阿部社長の愛商グループは独立のための仕組みがしっかりできている。そのロジックに基づいて本気でやれるかどうかが大事だよね。
どんな世界でも人の何倍もやるつもりで働けるかどうかが、成否を分ける。小さなことができていない人に大きなチャンスは決して巡ってこないから。
阿部
やるという意志が中途半端だと無理ですね。不安はたくさんあると思うけど、そこに囚われない勇気が必要。
近藤
僕は起業に必要なのは「勇気」と「覚悟」と「責任」だと考えている。
もちろん不安は誰にでもあるし、もしもの時を考えていないのは楽観し過ぎだ。でも「できなかったらどうしよう」ばかり考えていると勇気が失われてしまう。 僕はそういう考えに陥りそうになったら違う角度から考えるようにしている。つまり“できたらどうなの?”を考える。できたときのことを考えてワクワクしてきたら、それはGOのサイン。 僕は起業してからずっとワクワクしながらやってきた。
「勇気」はそのワクワクのためにチャレンジできる力だと思う。
「覚悟」は、“これができなかったら死んでもいい!”と思えるくらいの強い気持ちのこと。死にたくないから頑張ることができる。
「責任」は、取引先に対してはもちろん、部下に対しても必要。給料を払っていくのは当然として、自分についてきてくれた相手に対して、近藤太香巳と会ってよかったと思わせる責任がある。 それは業務の場だけでなく、一緒にご飯を食べたり、話したりする時間に対しても同じだと思う。

ピンチはチャンス。悩んだら経験者に聞くこと

近藤
経営者というのは2種類しかいない。お金を持っていて何かを始める人、もうひとつは何もないところから作っていく人。
前者が資本家なら後者は実業家。僕も阿部社長も実業家だ。ゼロからのスタートだから、トライ&エラーなんてしている余裕はない。 失敗は成功のもとじゃなくて、倒産のもとだから(笑)、絶対失敗できないという気持ちでいかなければいけない。でも、ピンチは来る。どんなに準備していても来るんだ。
僕が考えているのは「ピンチこそチャンスの始まり」ということ。ピンチの時に新しいものを生み出せるかどうかが重要。僕はむしろワクワクする。 “今に見とれよ!”という気持ちが原動力になる。諦めなければ決して挫折することはないからね。
阿部
私はこれまであまり大きなピンチを経験したことがないんです。私生活以外に大ピンチはない(笑)。どうしてかというと、新しいことをやるときは必ず相談するから。 近藤社長は私のメンターの一人。アクションを起こす前に必ず聞くようにしています。
近藤
この「経験者、成功者、突出した能力を持っている人に聞く」というのはすごく大事なこと。僕も20年前の悩みが今だったら2秒で解決できる。
本来は自分で経験したほうが腹に落ちるから一番いいんだけど、経験者に聞くことでワープできる。その知見を自分流にアレンジすればいい。阿部社長はそれを素直な気持ちでできているのがいいよね。
阿部
アドバイスを聞いて踏みとどまったことも。あのとき止めてよかったと今でも思っています(笑)。
これからも今、手掛けている事業と 180°違うビジネスをやることは絶対にないですね。本業を究めることが大事だと教えられました。
近藤
僕が阿部社長に言ったのは「自分が責任を取れないことはやったらあかん」ということ。
成功っていうのは奇跡だから、お金ができたからといって自分のフィールド外のことをやっても上手くはいかない。
僕だったら企画力や営業力が活かせないところでは勝負しない。得意分野じゃないと上手くハンドリングできないから。

リーダーは自分を高め、社員に道を示す

近藤
僕は会社には3つのタイプがあると思っている。
1つ目は「あってもなくてもいい会社」。2つ目は「世の中にあったら便利な会社」。3つ目は「社会に必要とされる会社」。
僕は20代のころ、この3つ目の社会に必要とされる会社になることを思い描いていた。当時は無理だと思っていたけど今、それが現実になりつつある。 LED照明レンタル事業がその一つで、初期投資オールゼロでエネルギー効率が高いLED照明に切り替えられる仕組みを作った。 自分たちの事業が省エネルギー社会の実現に寄与する、社会のため、地球のためになる、という実感は従業員の誇りに繋がる。 自分たちの会社が社会に影響を及ぼす大きなことをやっているんだと示すことは、リーダーにとってとても大事なことだと思う。 そして従業員と徹底的に語り合う。時間を共有し、ベクトルを一致させていく。全員の「絆力」を高めていくのはリーダーの責任だよね。
阿部
私は、社員やグループの社長たちに、よく自分の経験を話していました。
学生時代の先輩や知り合いの中で活躍している人に会って話を聞くようにアドバイスすることも。高い役職についている人がいたら、どうしてその役職につくことができたのかを聞いてくる。 上手くいった事例も教えてもらう。多方面から刺激を得て、力をつけてほしいと思っています。
近藤
自分の資質を磨いていこうと思ったら、自分よりイケている人と一緒にいることだよね。
正直なところイケていない人と一緒にいたほうが楽なんだけど、イケている人の下でいろいろ手伝わせてもらったほうが勉強になる。 その点、僕が代表を務めている『パッションリーダーズ』はイケている人だらけ。 みんなのためにと思って作った団体だけど、素晴らしい人たちのスピーチを聞くことで僕も大いに刺激されている。 もっと勉強しなくちゃという気持ちになる。イケている人から学ぶために僕が努力しているのは彼らからの信頼を得ること。 そのためには心を尽くさなきゃいけない。 出張先でお土産を買ってきたら、相手の顔を思い浮かべてその商品を選んだ理由を一筆、書いて添える。 会食の席で今日はいい話を聞かせてもらったと思えば背伸びしてでも自分が払う。 見どころのある人間だと思われるための行動を、惜しんではいけない。
阿部
私は40歳を過ぎるまで先輩経営者とあまり付き合いがなかったんです。
私が自分よりもレベルが高い方々と時間を共にする必要性を痛感したのは『パッションリーダーズ』に入会して、近藤社長といろいろと話すようになってから。 言葉にして表現する力や、礼の尽くし方など多くを学ばせてもらっています。
近藤
リーダーにとって大切なのは表現力。
人には短い言葉しか響かない。僕はこれを日常的に練習するようにしている。 たとえば、タクシーに乗った時、行先をいかに短くかつ正確に伝えられるかというのはいつも意識してやっていること。道中、聞き返されることなく目的地へつけたら成功。 社員に伝える大切な言葉こそ意味のある言葉だけを選んで簡潔に話すよう、意識している。

発展著しい軽貨物運送業は、挑戦する価値大

近藤
軽貨物運送は今後さらに伸びる。
キーは IT産業の発展。中でもインターネットショッピングの隆盛は追い風だ。注文受付の場面はIT技術が担うけど物流はアナログ。物を動かす部分は必ず残る。 ITと連動していかにしてこのビジネスを広めていくかがポイントだね。車両の数を増やして、シェアを押さえてNO.1を目指してほしい。
阿部
近藤社長がおっしゃるように、まずは数ですね。今の独立をサポートするシステムももっといいものに発展させていきたい。
近藤
起業には2つしかない。1つはマーケットが大きいところで勝負すること。もう1つは、ニッチな産業を選ぶこと。 軽貨物運送のマーケットはこの先もどんどん拡大していくけれども、ノウハウがないとできない事業でもある。愛商グループには積み重ねてきた実績がある。 末広がりのマーケットのど真ん中でやれるんだから、ぜひ挑戦してほしい。うまくいく確率は高いだろうけど、最終的な成功はその人の努力にかかっている。 それだけは忘れてはいけない。あと、阿部社長の人間性の良さは折り紙付きだから、安心して仲間に入ったらいいと思いますよ。